素敵な住宅や家具にはよく無垢材が使われているので良い印象を持っている方も多いでしょう。しかし無垢材に具体的にどんなメリットとデメリットがあるのかはよくわからないなんてことはないでしょうか?ぜひこの記事で詳しく知り、新築の家づくりや趣味のDIYなどに役立ててください。
無垢材とは?
まず「無垢材とは?」という根本的なという部分について簡単に触れておきます。
無垢材とは天然の木からそのまま切り出して板として加工したものを指します。無垢材に対して集成材や合板というのがありますが、これは複数の木を接着剤でくっつけて加工された木材になります。
無垢材のメリット及びデメリットは、集成材や合板と比較すると大変わかりやすくなりますので、この記事では主にそれらと比較していきます。
無垢材について詳しくは下記の記事にまとめていますので、ぜひこちらも参考になさってください。
無垢材の種類
無垢材には様々な種類の天然木が使用されますが、その種類を大きく分けると針葉樹と広葉樹に分かれます。針葉樹とは硬くてとがった葉を持つ木になり、広葉樹とは広く平らな葉を持つ木になります。
代表的な針葉樹の無垢材はスギ、ヒノキ、パインなどになります。広葉樹はというとウォールナット、チーク、ナラ(オーク)、アカシア、バーチ(カバザクラ)などになります。
針葉樹と広葉樹を大雑把に比較すると針葉樹は柔らかくて軽い、広葉樹は硬くて重いというのが特徴になります。
日本は木材の供給の60%を輸入に頼っており、日本で手に入るのは外国産のものがほとんどです。ただ、日本では昔から針葉樹であるスギやヒノキなどの無垢材が使用されることが多く、これらの無垢材だと現代でも国産のものが比較的手に入りやすいです。
無垢材のメリット
無垢材のメリットは多岐にわたります。多くの人を虜にする魅力を順番に紹介していきます。
①無垢材は風合いが魅力
無垢材のメリットとしてまず挙げられるのが、その風合いではないでしょうか?天然木そのままの風合いは優しく、ナチュラルで、心をホッと落ち着かせてくれます。無垢材のぬくもりは肌馴染みが良く、心地良く触れることができるのも魅力です。
また、無垢材は一つ一つがそれぞれ独特の木目を持っているなど、一点ものとしての価値もあります。例えば屋久杉は樹齢1,000年を超えるスギで、その無垢材は樹齢を重ねた故の独特な風合いを持ち希少なものは高額で取引されます。屋久杉の一枚板をダイニングテーブルなどの家具にして、希少な風合いを存分に味わう方もいらっしゃいます。
集成材や合板はいかに品質を均一にするかということを目指して作られるため、どうしても人工物という面が強くなり木の風合いは薄れてしまいます。
②無垢材は調湿効果が期待できる
無垢材の表面を顕微鏡で見てみると、無数の孔がとなり合っているのが確認できます。これを多孔質と言い、この孔のおかげで様々な恩恵が受けられます。その恩恵の一つが調湿効果です。調湿効果とは湿気が多い時は湿気を吸い、乾燥している時には水分を放散するといったような天然木が持ち合わせている性質ですが、これを無垢材も持ち合わせているのです。ですから無垢材を多用した住宅では日本の四季の移ろいに合わせて室内の湿度を適度に保ちやすくなります。
③夏はさっぱり冬はほんのりあたたかく
無垢材の調湿効果によって夏はべとつかずさっぱりとした肌触りになります。また、無垢材の無数の孔に空気層が形成され、その空気層によって寒い冬でも無垢材に触れるとほんのりとした温かみを感じます。無垢材のこのような特性はフローリングで特に生かされ、冬の底冷えを回避するために選ばれるなどし、床暖房を敬遠する方にも人気です。
④無垢材は音を楽しめる
無垢材の多孔質な性質は他にも吸音効果にも活かされます。例えばコンクリートの建物内で音を立てると音がコンクリートに跳ね返され反響します。無垢材はたくさんの孔によって音をバランス良く吸収し、雑音などの不快な音を響きにくくしてくれます。ですからコンサートホールの天井、壁、床等にはよく無垢材が使用され、音が正確に耳に届くように配慮されているのです。
一般住宅でも無垢材のこういった性質を活かし、音楽鑑賞を楽しんだり、楽器演奏を楽しむ防音室の内装材として使用されたりします。
⑤無垢材は補修しやすい
無垢材は傷や汚れがついた時補修しやすいというところも魅力です。例えば無垢材のフローリングに凹みができてしまった時は、水を含ませた布をしばらく凹みの上に置き、その上からアイロンをかけることで凹みを元に戻せる可能性があります。また、どうしても取れない汚れがついてしまった場合、その部分をサンドペーパーで磨いてきれいにすることも可能です。集成材や合板ではこういった補修はできません。
ただ、無垢材にどんな塗装を施しているかということで補修の仕方が変わります。例えばウレタン塗装のようなコーティング系の塗装の場合は、プロにお任せしないと元のようなきれいな状態に戻せなくなる危険性もあります。
そのあたりの詳しいことは下記の記事を参考になさってください。
(無垢材の手入れ方法とメンテナンスのリンクをはる)
⑥無垢材の香りでリラックスできる
特にヒバやヒノキといった針葉樹の無垢材はさわやかでいて落ち着く香りがし、心にも身体にもリラックス効果があります。この香りの成分はフィトンチッドと言い、森林浴で感じる森の香りにも多く含まれています。フィトンチッドの香りをかぐと血圧が下がりリラックス状態になることが実験でも実証されています。フィトンチッドは同時に消臭や脱臭にも効果を発揮し空気を清浄化してくれます。
⑦無垢材は虫や菌に強い
他にもフィトンチッドはダニや蚊、ゴキブリやシロアリなどの虫を忌避できる他、カビや大腸菌などの細菌の増殖を抑える効果もあります。例えばヒノキは住宅の建材だけでなく、お弁当箱やまな板など食に関する道具にもよく使用されますが、それはこういった効能からです。
⑧無垢材は人体にやさしい
⑥⑦で説明したように、無垢材はリラックス効果や防虫抗菌効果などをもたらしてくれるフィトンチッドを放散しますが、それは天然成分なので人体にも環境にも安心です。
また、集成材や合板の場合、加工する際に接着剤などの化学物質が使用されますが、それらから発せられるホルムアルデヒドはシックハウス症候群や化学物質過敏症の原因としても知られています。無垢材もわずかにホルムアルデヒドを放散するものの、集成材や合板に比べるとかなり少ない量になります。
特に子どもやペットは化学物質に敏感だったりするので、そういったご家庭では無垢材の方が安心して使用できます。
⑨無垢材は環境にやさしい
例えば家を解体するという時、いらなくなった集成材や合板を燃やしてしまうと大気や川などの環境を汚染してしまうダイオキシンが発生します。なぜかというと、それらには接着剤などの化学物質が使われているからです。では燃やすのはやめて野山に放置しようとしても、やはり化学物質が含まれるので環境を汚染しながら朽ちていくでしょう。
ただ、では無垢材では大丈夫か?というと必ずしもそうではないという話もあります。無垢材を燃やしても燃やし方によってはダイオキシンが発生する場合があるということです。ダイオキシン類はすでに大気や雨、土壌などの環境中に存在するので影響を受けずにいられるものはないからです。それでも無垢材の場合は野山に放っておいても土に還すことができますし、再利用して紙の原料にすることもでき、集成材や合板よりも環境にやさしいと言えるでしょう。
無垢材のデメリット
メリットの多い無垢材ですがもちろんデメリットもあります。しかしそのデメリットはメリットの裏返しになり、メリットを享受するなら仕方がないとも言えます。
①無垢材は傷がつきやすい
無垢材は一般的に集成材や合板に比べると柔らかく傷がつきやすい素材と言えます。しかし、特に広葉樹の無垢材には比較的硬く傷がつきにくいものもあります。例えばナラ(オーク)、アカシア、ウォールナット、チークなどは硬く耐久性にも優れています。それに比べるとスギやヒノキなどの針葉樹の無垢材は比較的柔らかくて傷がつきやすいと言えますが、無垢材の柔らかさは肌触りの良さにもつながるので一概にマイナス面だとは言えません。
無垢材を使用する上で「傷」というのは「味」という風にも捉えられます。無垢材の床やテーブルなどについた傷は日々の生活の証にもなりますし、無垢材の柱に刻まれた子どもの身長などはかけがえのない思い出にもなります。そこに唯一無二の愛着がわくのです。そういった楽しみ方ができるのも無垢材の醍醐味になります。
②無垢材は変形することがある
無垢材は調湿効果を持つということは説明しましたが、この調湿効果によって膨張と収縮が起こります。無垢材の場合それが反りや変形の原因になってしまうことがあります。例えば無垢材のフローリングの場合反りや変形のためにフローリングが浮いてしまったり、隙間ができてしまったりすることがあるのです。しかし、それは一時的なことで時間が経つと知らない間に直っていたということもしばしばあります。
簡単に言うと原因は水分にあります。水分を多く含ませてしまうと反りや変形が起きてしまうのです。ですから一時的に水分量が増えて軽く反ってしまったという場合は、その水分がなくなると元通りになる可能性も高くなります。
ただ、常に長期間湿気にさらされていて反ったり変形したりしたという場合は、なかなか元に戻せなくなるのでプロに相談する方が無難でしょう。
③無垢材は水に弱い
例えばフローリングを日々使用しているとその上にお茶をこぼしてしまったり、キッチンで水しぶきが飛んでしまったりという場合があったりします。集成材や合板を使ったフローリングだと表面にしっかっりコーティングされているので、フローリングに傷などさえなければしみ込むことなく拭き取ることができます。しかし無垢材のフローリングの場合はできるだけ早く拭き取らなければしみ込んしまい、取れないシミになったりします。
無垢材の場合もウレタン塗装や自然塗装などで保護でき、特にウレタン塗装だと多少自然塗装よりも水に強いと言えます。しかし、いずれもそれほど効果がないので水分は直ちに拭き取る必要があります。ただ、自然塗装や無塗装の無垢材だと、水分をこぼしてシミになったとしてもその部分を削ってみたりするなど、自分でも何らか対策がとれなくもありません。ウレタン塗装の場合は削ったりすると自分では元に戻せなくなるので注意が必要です。
④無垢材は施工に手間がかかる
合板や集成材の場合は品質や寸法が均一になるように加工されます。反りや変形の心配も無垢材に比べると少なく、フローリングとして施工する時や、DIYでテーブルなどを作る時でもわりと簡単に作業が進みます。
それに対して無垢材の場合はナチュラルなだけあって不均一なので、施工する時に多少手間がかかります。
⑤無垢材は値段が高い傾向
例えば住宅のフローリングに無垢材を使用するとなると先ほどもふれた通り施工に手間がかかるので、集成材や合板のフローリングより施工費は高くなります。
また、無垢材の中にはそもそも無垢材として加工する際に、丁寧に乾燥させるなど、しっかりと手間がかけられたものがあります。そうすることで反りや変形などを抑えたり、強度を高めたり、木を腐らせてしまうような菌の繁殖を抑えたりすることができます。そういった木材は必然的に値段が高くなりますが、長持ちするようになるので長い目で見ると安い買い物とも言えます。
無垢材はこういった理由から値段が高くなる傾向がありますが、もちろんこの限りではありません。例えばパイン材は大変供給量が多いので比較的安価で手に入れることができます。ですからDIYでもよく使用されますし、製品としても無垢のパインテーブルやパインデスク、パインキャビネットなど、パインを使った家具がたくさん流通しています。
まとめ
ここまで無垢材のメリット・デメリットについて説明してきましたが、正直、無垢材に魅せられた私のような人間にとってはデメリットなど取るに足りないことに思えてしまいます。無垢材には本能的に引き付けられ、「無垢材じゃなきゃイヤ!」と理屈抜きに思わせるようなそんな魅力があります。
デメリットをまとめて大雑把に言うと「扱うのに手間がかかる」ということだったりします。施工の際は反りがないかチェックしたり、かんなで削ってみたりといった手間がかかったりします。日常的に使用する際は定期的にワックスをかけて磨いてみたり、汚れをサンドペーパーで削って修復したりなどの手間がかかったりします。こういった手間を「めんどうだ」という風に取る方もいらっしゃるでしょうが、こういった手間こそが無垢材の魅力でもあるのです。時々無垢材の様子に気を配り、必要な手入れをしているうちに、いつしかまるで生き物を扱うような愛着を覚えるようになったりします。修復しても消えなかった傷は時を経て馴染み、唯一無二な模様にすら見えるようになったりします。
無垢材に興味を持たれた皆さんはきっと、こういった豊かな楽しみ方ができる方々なのだと思います。そういった方々に向けてこれからも無垢材についての色々な情報をお知らせしていきますね!

